関東のアダムのブログ

半世紀以上、宝塚大好き、子育てで中20年くらい抜けていますが、また返り咲いて全組応援しています。特に雪組朝美絢様推しです。どうぞよろしくお願い致します。

花組「愛しい人」メッセージ受け取りました




花組別箱「愛しい人」7月23日マチネ、観て参りました。


前評判は賛否両論、いや、否、否、否、の嵐、といったところでしょうか……


相当覚悟して観にいきましたが、


私としては、十分楽しめて、涙も流し、この暑い中、さらに心が温かくなって帰ってきました。



今同時に花組でやっている別箱2つ (巴里祭は抜かします)


「ドン・ジュアン」と「愛しい人」


本当に真逆の作品ですね。


片や、三秒に一度は何かしらの事件が起き、物凄い圧でねじ伏せ、ドラマティックな展開に……


片や、表面的には何一つ変わったことは起きず、ひたすら内面的な内へ内へと掘り下げていく……



「ドン・ジュアン」も出演者皆さんの熱演でそれはそれは感動しましたが、


「愛しい人」も捨てたものではありませんでした。



まず、舞台装置、


何十脚の椅子が色々な形で繊細に積み上げられていて、舞台の下から上まで、


ちょっと地震でもあったらバタバタと崩れ落ちそうな配置で、まず私はその椅子に圧倒されました。



作品を観ていくうちに、ちょっと押したら崩れてしまいそうなその椅子の存在が、


人間の心の中なのだ、ということに気付きました。


どんなに強がっていようと、どんなに笑顔で心を隠していようと、


ちょっとした考えなしの安易な言葉で人は深く深く傷つけられてしまう。


暴力は痛いけれど、その傷は日が経てば治っていく、けれど言葉の暴力は一生の深い傷になって残り続ける。


人を殴ったら殴られた人は当然痛いけれど、殴った人の手もそれと同じくらい痛い。


「心ない言葉も、発した人が、言われた人と同じくらい心に痛みを感じればいいのに……」


聖乃さんが発する台詞です。


言葉は、何を言っても自分には痛みを感じないから、簡単に人を傷つけることを言ってしまう、


だから、一言一言慎重に考えて相手のことを思って繊細に言葉にしなければいけない、


というメッセージとして心に響きました。



それは、宙組の自死問題にも繋がるメッセージのように感じました。


作・演出の生駒怜子先生は、デビュー作品が宙組の「夢現(ゆめうつつ)の先に」で、今回が二作目です。


デビュー作品で関わった宙組に対するメッセージも込めているような気がしたのは私だけでしょうか……



ちょっとさわったら崩れ落ちそうな椅子をモチーフにしたことや、


椅子取りゲームで自分の椅子はない、自分の居場所がない、という場面などから、


亡くなられた有愛きいさんのことを思い出して本当に悲しくなりました。


心ない言葉にどれほど傷ついたかと思うと胸が苦しくなります。



人間は一人では生きていけない、だから日々何でもない些細なことを幸せに感じて、


優しい言葉と思いやり溢れる毎日を過ごしていこう、というメッセージとして捉えました。


物語の最後に、ダーンが、15年前の自分(ミラ)の両親が亡くなった事故についてインタビューをすることになった時、


主人公ダーン(聖乃あすかさん)がミラ(七彩はづきさん)に言った言葉が印象的でした。


「事故のことを思い出すのではなく、愛しい人のことを話して欲しい」


ミラの中で両親の思い出は痛ましい事故に繋がってしまって悲しみでしかなかったのですが、


「愛しい人=両親」と思ったら、小さい頃の楽しかった思い出が湯水のように溢れでてきて、


本当に幸せだったんだ、ということを思い出していきます。


そして、取り繕った嘘の笑顔ではなく、心の底からの本当に笑顔に変わっていきます。




聖乃さんの最後のご挨拶で、


「この作品に込められた温かいメッセージを受け取ってもらえたでしょうか?」


とおっしゃっていましたが、確かに受け取りました。


今すぐにでも家族や近しい人たちに優しい言葉をかけたいと思いましたもの……



フィナーレも素敵で、聖乃さんと七彩さんのデュエットダンスは、まるでディズニーランドのプリンスとプリンセスのように美しかったです。


衣装もフワフワでとっても素敵でした。


パレードも工夫が凝らされていて、何と、二人の結婚式になっていたのです。


真っ白いウェディングドレスの七彩さんが、おじいちゃんの一樹千尋さんに導かれて出てきて、最後に聖乃さんが白のタキシードでお二人の結婚式を皆で祝うという……


奇想天外な発想にやられました。



内容的には色々ありますが、


主演のお二人がとにかく素敵でした。


この作品は聖乃さんが主演でなかったら成り立たなかったと思うくらい、作者の想いを感じましたし、


聖乃さんの柔らかさ、優しさがピッタリとはまっていました。


侑輝大弥さんが飛び抜けてかっこ良かったですし、


(やはり見れば見るほど、若かりし頃の麻実れいさんに似ています)


鏡星珠君と初音夢ちゃんはしっかりと笑い担当で頑張っていましたし、


真澄ゆかりさんがいい仕事をしていましたし、


流石の一樹千尋さん、美風舞良さん、峰果とわさんは舞台をしっかりと締めてくださっていました。



日々の何でもないことが本当に幸せなんだ、ということを改めて思い出させてくれた「愛しい人」


今日が日本青年館ホール千秋楽ですが、


梅田ドラマシティでも三日間、どうぞ頑張ってください。







もしよろしければぽちっと

どうぞよろしくお願いいたします